2020年8月25日火曜日

そこは湯の山「秋田焼山」【秋田県(八幡平)】

人によって登ってみたい山の基準って色々あると思います。
景色の良い山、迫力ある岩稜帯のある山、緑が綺麗な山、百名山になってるから、などなど…

自分にとって、その理由の一つに「麓に良質な温泉が湧いてる山」があります。

もちろん最初は山に登って素晴らしい景色を見るのがメインでしたが、山に登った後の温泉の気持ち良さを知ってしまった頃から「ここの温泉に気持ちよく入りたいから、この山登ろう!」みたいな思考回路が定着。

そうなると登る山は火山 or 元火山が多くなり、火山の作り上げた迫力ある風景や、噴気を挙げる大地…、そういう生きてる山にすっかり魅了されてしまい、今ではすっかり火山大好きっ子になっていました。

そんな自分が少し前から気になっていたのが今回紹介する「秋田焼山」です。

「秋田焼山」(1366m)
*名残峠から望む湯沼

2020/7/23
コース:後生掛温泉登山口→栂森→焼山山荘⇔山頂→(ベコ谷地コース)→後生掛温泉登山口
累積標高(上り): 630m
累積標高(下り): 619m
*後生掛温泉裏の大湯沼散策も含まれています。

この秋田焼山は百名山である「八幡平」の西側に位置するピーク。
山をやっていても知らない人が多いかと思います。

しかし!その山麓には自他共に認める超絶名湯である「後生掛温泉」や「玉川温泉」を従え、自分にとっては枕を向けて寝るが恐れ多い聖なるお山(笑)!
今度、こちらに温泉旅に来た時に登らせてもらおうと考えていて、2020年7月下旬の東北温泉旅で登ることとしました。

では、素晴らしい温泉を恵んでくれる感謝の思いを心に登らせて頂きます!!

起点は後生掛温泉側。
この秋田焼山は後生掛温泉と玉川温泉に登山口があります。
そして、それらを繋ぐ路線バスがあるので、名湯同士を繋ぐ縦走が可能ですが、コロナ禍でバスが減便しており縦走し難い状態だったので、今回は後生掛温泉起点の周回コースとしました。

登山口は後生掛温泉に至る道の脇にあります。
山と高原地図だと温泉施設裏から入る道がありますが、そちらは崩落し使えませんでした。


登りは毛せん峠を通るコース。
スタートしてしばらくは緑にあふれる樹林帯。
ちょうど雨上がりなので緑をより濃く感じます。
木道も多く、思ったよりは整備されているようで一安心。

しかし…
この山域、特に秋田県側は東北の中でも熊さんの生息数が多い地域。

マイナーとはいえ連休なので多少の人出を期待してたのですが、駐車場に自分以外の車は無く、登山道には蜘蛛の巣がたくさん…つまり、先行者はいないようで。
普段より緊張感を持って望む必要がありそうですね。

あくまで個人的にですが、鈴はうるさいし周りの音を聞こえ難くするので使わない主義です。その代わり熊対策は見通しの悪い場所では細目に立ち止まり気配を探りつつ、場合によっては笛を吹いくようにしています。

そして、毛せん峠直前で樹林帯を抜け、ここからは先は森林限界超え。
景色を楽しみながらの稜線歩きなのでルンルン気分で一歩を踏み出したところ…

ガサガサ!
左横から笹原をかき分ける比較的大きな動物の気配が…

「あーーー奴ですね~、熊さんですね~、まあ居ますよね~」
とりあえず熊スプレーに手を掛けつつ、気配を探っていると、登山道からは離れる方向に歩いているようなので、しばし様子見。

…そのまま10分くらい待ち、遠ざかったのが確認できたので、登山を再開。

ふーーー、もう何度か会ってる熊さんですが、やっぱり緊張しますね(汗)

毛せん峠すぐ横には栂森と言われる小ピークがあります。

ここからは焼山本体の火口縁の外輪山が望めます。
ちょうど正面の焼山山荘(避難小屋)があるもっこりした部分が鬼ヶ城と言われる溶岩ドームで、その周りが外輪山ですね。

毛せん峠を過ぎ外輪山に取り付きます。
火山とは言え、思ったより緑あふれるお山ですね。
この頃から青空も見え始め気分も上々。


しばらく進むと避難小屋である焼山山荘があります。
原則、緊急時以外の使用は禁止ですが外も内も非常に綺麗。
火山活動は安定しているとは言え、まだまだ生きている山。
こういう避難できる場所があるのは安心できますね。

この焼山山荘が毛せん峠コースとベコ谷池コースの合流地点になっており、これ以降は山頂まで一本道。

焼山山荘から外輪山の内側をトラバースしながら進むと硫黄の匂いが濃くなると同時に秋田焼山の名物「湯沼」が見えてきます。

濃厚白濁泉がいたる場所から湧き出てて巨大露天風呂そのもの。
温泉好きの自分にとってはまさに絵に描いたような天国そのもの!!

思わず駆け寄ってルパンダイブしたくなる衝動に駆られますが、もちろん周辺は立入禁止。
煮えたぎってる場所もあり実際ダイブしたらきっと本当に天国行きなんでしょうね(笑)

ううう…、でも端っこで足先だけでも…!(ダメ)

指を咥えて恨めしい目で湯沼を愛でながら更に標高を上げると「名残峠」に到着。
眼下に玉川温泉方面の景色が広がります。

更に奥には外輪山の尾根が続きますが、これ以降は有毒ガス発生場所もあり危険なので立入禁止。
綺麗な尾根なのに残念です…

ここ名残峠が後生掛温泉と玉川温泉の縦走路の最高点になりますが、実際の山頂は横道をあとちょっとだけ進みます。

そして、程なく秋田焼山山頂!
ありがとう御座います!

中途半端に高い笹に囲まれ展望がありません!見るべきものもありません!(笑)
記念の自撮りだけして早々に退散しました。

そのまま焼山山荘まで戻り、小休止してベコ谷池コースで下山開始!


このコースは先に見ていた湯沼の裏側に回りこみながら、外輪山に囲まれた迫力の火山地形を楽しみながら進みます。
湯沼以外にもいくつか温泉沼が点在し、まるで別の惑星に来た気分を味わえます。

この景色は完全に予想以上!八幡平の端っこの1ピークにしておくのは本当に勿体ないと思いました。

火口から離れ、今度は正面の沢に向かって一気に標高を下げていきます。
この沢の名前は「湯ノ沢」…ってことはもしかして??(期待)

イヤー!本物の温泉じゃないですかーーー!

温泉成分の沈殿した沢底、かすかに漂う硫黄の香り。
流れるのはほんのり白濁したやや温めのお湯。
思わずバンザイ三唱したくなりました(笑)

そして、ふと横を見ると、なぜかちょうど良い湯貯まりとスコップと銀マットが(笑)
貯まってる湯にそっと触れると、完全に適温!
沢とは別に登山道脇から熱めの温泉が湧き出ているようです。

まあ、こんなもん見せられてスルーする訳にはいかないので、とりま足湯。
はぁぁぁ~生き返る。

しばしの間流れる雲を見ながら極上の山の恵みを楽しみました。

…いや、でもね。
今日は自分以外の登山者はないようだし、もうぶっちゃけ入るしか無くね?
着替えとか、海パンとか無いけど、タオルがあるから大丈夫じゃね?

(この後は御想像におまかせします)

…さて、下山再開(満足)

湯ノ沢から離れると再び単調な樹林帯。
熊さん対策を忘れずに進みましょう!


コース名の由来となっている「ベコ谷地」と言われる湿原までやってきました。
ワタスゲがそよいでなんとも爽やかな場所です。

湿原と言えば普通なら木道があるはずですが、そんなものは無くやや踏み固められた湿原の中の一本道を進みます。
踏み固められたとは言え、足首くらいまで沈む場所も多く、ローカットの登山靴では難儀しそうです。

ベコ谷池から後生掛温泉の登山口まではあっと言う間で無事下山。
お疲れ様でしたー!


では、総括。
いやーー楽しかったー!
本当に今回はその一言につきます。おそらく自分のような温泉&山好きじゃないと、存在さえ知らないお山だと思いますが、逆に趣向が合えばこれ程楽しい山は無いと思えます。

おそらくマイナーで入山者が少ないからこそ行けるような場所も多く、山が生きてる事を感じさせてくれる貴重な山かと思います。

個人的には百名山はちょっと盛り過ぎですが、二百名山には入っててもおかしく無い存在感を感じました。

最初にも書いたように玉川温泉や後生掛温泉といった名湯の源たるお山。
もし、これらの温泉に来る事があれば是非登ってみて下さい。
標高差も少なく登山としてはお手軽枠ですが、熊さん対策だけはしっかりとして望んで下さい。

以上です。

0 件のコメント:

コメントを投稿