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2020年12月13日日曜日

最後の三霊山 「白山」【石川県 岐阜県】

 日本は古来より「登拝」という言葉が生まれる程、山に対して畏怖や敬意の念をもって山に向き合う風習があります。
そういった信仰を集めた山は「霊山」と呼ばれ、その中で「富士山」「立山」「白山」は特に信仰を集めた山として日本三霊山と呼ばれています。

「富士山」は日本一のお山、「立山」は山岳リゾート観光の雄という事で、自分は山を始めた早いうちに登らせてもらいましたが、「白山」だけはなかなか行けずじまいでした。

理由というと、やっぱり茨城県から遠いっていうのが一番かと思います。
地図を見ると立山とそんなに変わらない感じもしますが、その間には個人的な感覚としてに大きなラインがあります。立山は前夜発当日朝着がギリギリできる距離なので普通の土日でOKですが、白山は移動日に一日掛けたいといった感覚です。
そうなると行くのはおのずと連休になり「連休=混んでる」という事にもなるので、人混み嫌いの自分としては、足が遠のいていました。

とは言え山を嗜みはじめて8年、そろそろ登っておかないとあかんでしょ…って気持ちも強まり、今夏いよいよ登拝させて頂く事にしました。

では、白山レポいってみましょう!!

「白山」(2702m)
*室堂から望む御前峰

2020/9/21~22
コース:
1日目:市ノ瀬→(バス)→別当出合→(砂防新道)→南竜ヶ馬場野営場(テント設営)→(展望歩道)→室堂→御前峰→(御池巡り)→室堂→山頂おかわり→南竜ヶ馬場野営場(泊)
2日目:→別山→(チブリ尾根)→市ノ瀬

累積標高(上り): 2553m(登り返し含む)
累積標高(下り): 2937m

訪れたのは2020年9月の4連休後半。
市ノ瀬の駐車場に到着したのは前夜23時くらいでしたが既に主な駐車場は埋まっており、路肩に案内されました。
さすがは人気のお山、24時間体制で駐車場に誘導係がいてくれるのは本当にありがたいです。
しかし、混雑覚悟で来たとは言え想像以上。連休中日なので相当数は既に入山してる人のだとは思いますがちょっと不安が募ります。

<1日目>

登山当日朝4時。おはよう御座います…(眠い)
始発のバス1時間前には行列が出来始めていたので自分も急いで列に加わります。
当日の行程は余裕があり昼前スタートでも大丈夫なんですが、早めにテントの場所確保をした方が良いと考え始発のバスに乗る事にしました。

結局、この後も人は増え続け始発前に臨時バスが動き始めてほぼ始発に乗れた自分は5時ちょうどくらいに別当出合に到着。
周りを見るとテント泊装備の人は皆無で、それほど急ぐ必要無いと思い直しヘッデンがいらなくなる程度に明るくなるまで待って出発しました。



砂防新道の名の通り右手に砂防群と不動滝をチラチラ望みながら標高を上げていきます。
山の上は前日の雨のせいか雲が残ってますが薄く空は見えてるので、まあそのうち晴れてくれるでしょ!
登山道も整備され過ぎって思える程整備が行き届いており、本当に登りやすい道でした。

甚之助避難小屋に到着する頃にはガスも抜け爽快な青空が広がってきました。

朝日差し込む別山方面の稜線がなんとも雄大。
今季初めての秋の始まりを感じる冷たい空気も相なって身体も心も引き締まりますね!

下界に広がる雲海を望みながら更に標高を上げていきます。
約1ヵ月ぶりの山だったので気分も爽快!

正面に南竜山荘と南竜ヶ馬場野営場が見えてきました。
これまでに下山する相当数のテント泊装備の人とすれ違ったので、一部の人に話を聞いてみると前日は足の踏み場も困るくらいの混みようだった様で…
昨日より好天の期待できる今夜はどうなってしまうのか…!(戦々恐々)


南竜ヶ馬場に到着。
本来は南竜山荘で受付するようですが、コロナ感染症対策で野営場の自炊錬に簡易受付があり、そこに記帳するシステムになっていました。
噂には聞いてましたは、水が出る自炊錬あり、トイレ完備の山の上のテント場と思えない充実っぷりでほぼ平地のキャンプ場気分。

ちょうど前日泊まりの人たちの多くが撤収しているタイミングだったので、端っこのあまり混み合わない一等地を確保できました!
やっぱりテン場には早着に限りますね。

…さて、テント設営も終えて身軽になったので改めて白山山頂の御前峰に向かいましょう!

野営場付近はちょっとした湿原で木道が整備されてとても気持ちいい路になってます。

しかし、登りに取り付く頃には雲が湧き立ち稜線を隠しはじめました。
あああーー!やめてーー!もう少し待ってて!

北アルプスの展望が広がるアルプス展望台ではすっかり真っ白に…
ああ…無念…
このまま山頂を目指していいのかちょっと迷いましたが「まあダメなら明日また来ればいいや」って軽い考えに切り替えとりあえず山頂に向かう事にしました。
行程に余裕のあるテント泊だと気分にも余裕ができるのが良いですよね。


室堂ビジターセンターに到着する頃にはチラチラと青空は見えるものの基本雲の中。
山頂展望が得られるかは五分五分って感じですが、まだお昼前で時間はたっぷりあるのでしばし山頂で晴れ待ちするつもりで登る事に。

白山山頂、御前峰!ありがとう御座います!
「白山なだけに白いわーー」なんて心の中で叫んでしまった程度にはガスってしまった大混雑の山頂でした(笑)

日帰りだったら泣く泣く下山するのでしょうが、今日はテント設営済みの後は寝るだけゆるゆる行程なので、予定通り防寒着を着こんで晴れ待ちモードに突入。

…そして、1時間半ぐらい待った頃…

きたーーーー!
御池や大汝峰・剣ヶ峰で成る白山の核心と言える山頂の火山地形が広がってくれました!
待った甲斐がありました!

この後すぐまたガスに覆われたので、山頂に後にして御池巡りに。
御池巡りとは白山山頂部の七つの池を巡るコースを歩くことです。
白山に来るならもちろんこれもセットです!




豪快に流れる雲の中、迫力の火山地形と御池を巡るコースは楽しさしかありませんでした。

特に翠ヶ池(一番上の写真)は本当に深い青色で感動。
また、この時期にまだ雪の残る池もあり驚かされもしました。

山頂からの風景も素晴らしいので、満足してそのまま下山してしまう人もいるでしょうが、この御池巡りはしないと損ですね!

御池巡りを経て再び室堂に戻ると御前峰はほぼ雲も抜けピーカン。
…これは、おかわりいっとく?

標高差もそれほど無いので最高峰に向けて登り返し!
時間があるって素晴らしい!(笑)

振り返ると1回目では拝めなかった別山方面も大展望。


そして、本日2回目の山頂。
石川県側は大雲海、山頂の火山地形も一望!白山の雄大さをこれでもかと感じる事ができました。
登り返して良かった!!

南竜ヶ馬場野営所に戻る頃には再び雲が湧き始めましたが、かろうじて夕焼けを見れました。
この日は思いの他テント場も空いており、密集する場所も無く快適に一夜を過ごせました。

<2日目>

おはよう御座います!
今日は別山を目指し、そのままチブリ尾根で市ノ瀬まで戻ります。

白山のピークハントだけなら日帰りで十分なのですが、別山からの白山主峰の展望が素晴らしいと聞いていたので、別山まで歩くのも大きな目的としており、それが今回テント泊にした理由です。
朝食を済ませ6時半に野営所を出発。

野営所の南側には広大な湿原が広がっており、初夏はお花畑が広がるそうです。
白山は雪解けシーズンも人気なので、また来てみたいですね。

白山山頂付近は分厚い雲に覆われ見えません…
天気予報的には今日展望が得られるのは五分五分、別山に着く頃はどうなってるのか、神のみぞ知る状態なので期待を持ちつつ先に進みましょう!

一回標高を落とし急登に取り付き稜線を目指します。
後ろを振り返ると眼下に野営所と白山主峰が。
出発時よりは雲も減り期待値もあげあげ、このまま抜けてーー!

別山までの主稜線に出ました。
この景色が見えた時には思わず歓声。
どっしりと優しさを感じる白山とは違い、迫力の岩峰とそれに向かって延びる細い稜線。
山のカッコ良さを感じられる素晴らしい景色!

歩いてきた稜線と、後ろに白山主峰。

一瞬晴れかけたものの、白山主峰には雲が居座る感じに。
稜線はガスることは無いものの、やっぱりちょっと残念気分。

そして、別山山頂に到着!ありがとう御座います!
うおおーーん(泣)ガッスガスやーー!

ちょうど山頂部だけ雲が掛かる状態だったので、1時間程度晴れ待ちしてみましたが、今回は願い敵わず…
今日は茨城に帰る9時間ドライブが控えているので泣く泣く下山開始。

うう…また来るよ…

稜線からの分岐を経てチブリ尾根に取り付きます。
眼下には途中のチブリ尾根避難小屋やゴールの市ノ瀬まで一望。
なかなか展望がありそうで楽しそうな尾根ですね。

尾根途中から白山主峰を望みます。
白山には引き続き厚い雲。
まあ、今から晴れてもぶっちゃけ悔しいだけなので、もうそれでいいです(泣)

避難小屋を過ぎ、しばらく歩くと樹林帯になるので後は黙々と下山。

市ノ瀬に到着!お疲れ様でしたーー!
連休最終日の昼過ぎだけあって、あれだけあった車もまばらに。
疲れ切った誘導係の人が印象的でした(笑)

とりあえず、やっと白山に登れて日本三霊山無事登拝できて感無量です!
雄大でどっしりとした山容は遠目で見ても存在感抜群で昔から多くの信仰を集めているのも納得。
現在は別当出合からなら誰でも登れる憩いの山に近い存在になっていますが、それだと白山の魅力はあまり伝わらないのかな、とも思えます。
大きな大きな白山、歩いてみたい路はまだまだ沢山ありそうなので、また機会を作って登ってみたいと思います!

長文になりましたが、以上です。
読んで頂けた方、ありがとう御座いました!

2020年1月13日月曜日

火山に登るということ「御嶽山」【長野県 岐阜県】

2014年9月27日、紅葉真っ盛りの晴天休日と登山を嗜む者にとって「最高」の日が「最悪」になってしまった山がありました。
そう、忘れもしない戦後最悪の火山災害と言われる御嶽山の水蒸気噴火です。

自分はこの日は家で大人しくブログを書いており、このニュースをお昼に知った時は非常に驚いたのを覚えています。

1年でも最も登山者が多いと言っても過言では無い最悪のタイミングだったせいか、58名のも多くの人が犠牲となってしまいました。
もちろん、それから数年は山頂近くまでは登山禁止となっていましたが、2019年のシーズンから登山道は限定されるものの山頂まで登山可能となりました。

しかし、登山可能になったとは言え地球規模で考えると噴火したのはつい最近と言え、本当に登って良いものかと少し考えてしまいましたが、自分の中で噴火の怖さが風化する前に登っておきたいと気持ちが勝り今回訪れた次第です。

では、2020年最初の山ブログ、綴っていきたいと思います。

「御嶽山」(3067m)
*賽の河原避難小屋付近から望む
2019/9/7

今回のコースは御岳ロープウェイを利用しての黒沢口登山道を登る定番コース。
剣ヶ峰山頂だけでなく摩利支天山まで行ってみる予定です。

訪れたのは9月上旬。盛夏にしては涼しくカラッとした空気に包まれ、雲一つない好天に恵まれた日だったのでロープウェイも運行前から4、50人は並ぶ盛況降りでした。

ロープウェイの中の話題はもちろん噴火の事でもちきり。
噴火当時もきっとこんな気持ちいい晴天だったことを考えると、やはり少しは怖い気持ちになります。
ただ、その気持ちは火山に登るなら常に意識するべき気持ちであって、きっと今まで意識しなかった自分が間違っていたのでしょうね…。

ロープウェイの終着、飯森高原駅に到着。
他の人はそそくさと入山していきましたが、どうせ下山する頃には一般の観光客も含めて混雑不可避なので、人のいない内に散策。



中央アルプスはもちろん、北アルプスの乗鞍岳、穂高連峰の展望が楽しめ、遊び心のあるミラー張りの展望台と、登山をしなくても十分楽しめるスポットでした!

では、登山口から入山!

女人堂手前までは朝日の差し込む樹林帯の中を小気味よく標高を上げていきます。
とても整備された登山道で初心者でも登りやすいですね。


8合目の女人堂からは森林限界も超え展望が広がります。
この辺りは多くの石碑や鳥居が立ち並び、信仰の山として発展してきた事が感じられます。

ここだけに限らず山全体に神様を祭る神像や石碑がとても多いです。
本当に多くの人の信仰を集めていたんですね。

抜けるような青空の下、頂上へ延びる尾根歩き。
先に九合目の山小屋群が見えてきました。

しかし、もう少し火山灰や噴石といった噴火の名残が残っていると思ってましたが、ここまで登ってみて一切そういうものは感じる事無く、本当に噴火があったのか?なんて考えてしまいます。

九合目直下になってくると傾斜もややきつくなります。
現在、御嶽山はヘルメット推奨山域になっており、ほとんどの登山客はヘルメット持参しており、この辺りで装着していました。
もちろん、自分も事前に知っていたので装着済み。

そこそこキツイ登りを超えると山頂稜線へ。
最高峰の剣ヶ峰までは後少しだけ緩やかに登る必要があります。

ここも木道がちゃんと整備され噴火があったように見えません。
でも、木道が比較的新しくきっと噴火の後に整備されたものだと思います。
関係者の方々に頭があがりません。

山頂直下の階段下には、2014年の噴火で犠牲になった方々の慰霊碑があります。
途中登る中で噴火の痕跡があまり無く実感が湧きませんでしたが、慰霊碑に刻まれた犠牲者の方々を見ると手を合わさずにはいられませんでした。

…ご冥福をお祈りします。

そして、階段を登って御嶽山山頂!ありがとう御座います!


山頂からは北アルプス方面、中央・南アルプス方面の展望がばっちり!
気持ち良い天気に登れて感謝です。

そして、山頂から南西の方に目を向けると2014年の噴火場所が少し見えます。
(写真の右下の火山灰に覆われている場所)

当日も何の前兆も無いこんな穏やかな天気だったと思うと、少し怖くなってしまいました…。

もう一度手を合わせて山頂を後にしました。

さて、時間がまだまだあるので予定通り剣ヶ峰が綺麗の望める摩利支天山まで脚を伸ばしてみることに。


ニノ池と二ノ池山荘。
この二ノ池山荘は噴火の後に再建されたもので、この時はまだ本格営業はしていないようでした。


サイノ河原。
お地蔵さんたちが鎮座する空間は少し不思議な感じ。

サイノ河原避難小屋付近からは三ノ池がとても綺麗に望めます。
青空と相なって深い青色を湛えていました。

三ノ池乗越から摩利支天山まではなかなか傾斜のキツイ斜面のトラバースが続きます。
危険!って程でも無いですが、少々注意して進んだ方が良さそうですね。

そして、摩利支天山山頂!
奥に見えるは剣ヶ峰。
火山らしい迫力ある地形が広がっています。

後ろを振り向くと眼下に五の池小屋が見えます。
最近、五の池小屋はリゾートちっくなおしゃれ山小屋を売りに人気が出ているようですね。
自分の余裕があれば寄り道してみようと思ってましたが、思ったより標高を下げられそうなんでやめておきました(笑)

その後は来た道をゆるゆると下山。
写真の通り一日を通してとても人が多く賑やかなお山でした。

以上です。

さて、今回の御嶽山ですが、やはり噴火から五年も経っているせいか噴火の恐ろしさを直接感じるシーンは少なかったです。
でも、噴火当日もなんも前兆も無いこんな穏やかな日だった事を考えると、少なからず常に緊張感があった一日でした。
また、登山客のヘルメットの着用率はとても多く火山に対する意識は以前とは比べ物にならない程上がっている事を感じ取れました。

この御嶽山の噴火を切っ掛けに自分も含め多くの登山人に「火山に登るというリスク」を教えてくれた事を忘れずにいたいですね。

最後に改めて、噴火で犠牲になった方々のご冥福をお祈ります。