四国といえば空海が拓いた四国巡礼八十八箇所を巡るお遍路さんが有名で、また、古来より山岳信仰が強く修験の山が数多く在ります。
その中でも西日本第1位と2位の高峰である石鎚山と剣山は特に信仰を集め修験が盛んだったそうです。
しかし、現在ではいずれも日本百名山になってロープウェイやリフトで簡単にアクセスが可能で多くの観光客を集めその面影は薄れつつあります。
自分も昨年石鎚山に登っており、修験の鎖場を経験しましたがやはり観光登山という感じがメインであった気がします。
そういった経験から剣山に登る機会があればしっかり四国の山を感じられる路を歩きたいと考え、今回の三嶺から剣山までの路を歩く計画を立てていました。
写真等でそのコースを見ると緑鮮やかな新緑の季節が気持ちよさそうだったので、昨年(2020年)の5月頃に予定していましたが、新型コロナ1波の緊急事態宣言で断念し秋に再計画。そして、コロナもやや落ち着いていた11月初旬に無事決行できた次第です。
さて、どんな山旅になったのか綴っていきたいと思います。
「剣山」(1955m)
*次郎笈山頂直下から望む
「三嶺」(1894m)
*カヤハゲ(東熊山)付近より望む
コース
10/31:名頃登山口→三嶺(三嶺避難小屋泊)
11/1:→剣山→見ノ越
当初の予定では11/1にゴールである名頃に車をデポしバス利用で見ノ越まで移動して登山開始して剣山山頂ヒュッテで一泊。11/2に三嶺まで縦走する予定でしたが、11/2が悪天予報だったので、土壇場で計画変更。
四国入り&移動日として当てていた10/31に三嶺まで行き、11/1に剣山まで縦走する事にしました。
<1日目>
10/31は朝一の飛行機で徳島空港に降り立ち、少々急ぎ足に行動して13時前に名頃に到着。
この日は雲一つ無い絶好の登山日和だったので駐車場が満車の懸念がありましたが、かろうじて1台の空きがあったのでセフセフ。
路駐も多かったので早帰りした人の場所だったかと思います。
遠征登山はまず登山口に着くまでが一番緊張しますよね。
では初日は三嶺山頂まで!よろしくお願いします!(ペコリ
登山口もそうだった様に、登り始めの樹林帯は紅葉のピーク。
秋の澄んだ空気を身体いっぱい吸い込みながら小気味良く標高を上げていきます。
ちょうど日帰り登山客の下山の時間帯だったようで多くの人とすれ違いました。
さすが四国山地の人気のピークですね。
2時間ほど登ると森林限界突破し、四国を象徴するような笹原が広がります。
そして、後には剣山が大展望!来て良かった!
そして、15時前には三嶺のほぼ山頂に位置する本日のお宿「三嶺避難小屋」に到着。
既に地元らしいパーティー8人くらいが宴会中…
うん、まあ休日晴天だし…、こういうのも想定内ですが、これ以上賑やかにならなければいいな…
とは言え、2階立てで収容人数30人程度の比較的大きな避難小屋なので、スペースはまだまだ十分。宴会パーティーから離れた壁際を確保し山頂に向かいます。
そして三嶺山頂!
ありがとう御座いました!!剣山よりこっちが先になるとは思わなかったよ!(笑)
三嶺山頂といったらこの風景。
広い平坦な笹原と沼で成す山頂の奥には剣山。晩秋で笹もだいぶ色褪せてしまっていますが、いつか見たいと思っていた景色なので見れて良かった!
展望は最高で太平洋から瀬戸内海・石鎚山まで四国山地の大パノラマ。
剣山とは逆方向の天狗塚方面の稜線もカッコイイ!次来る機会があればこっち方面にも歩いてみたいですね。
遠征先でこの天気は本当に感謝。これで明日ガスっても後悔はありません!(後ろ向き)
この後は避難小屋で大阪の方から来た二人組の方々とちょっと意気統合し軽めの晩酌。
関西・西日本方面の山事情にはあまり詳しく無かったので、色々お話が聞けて嬉しかったです。
そして、日没タイムになったので再び山頂へ。
輪郭のはっきりしたオレンジ色の太陽によって作り出されるグラデーションの空に浮かぶ四国山地の峰々は、まるで日本神話に出てくるような風景でした。
明日はいよいよ剣山までの縦走!
晩酌もほどほどに早めの就寝、お休みなさーーい!
<2日目>
おはよう御座います!
2日目は三嶺から主稜線を歩き剣山を経て見ノ越に下山します。
見ノ越から名頃に戻る14:55のバスに確実に間に合わせる為に日の出とほぼ同時に出発!
こういう時間制限があるのはストレスを感じるのでできれば避けたかったのですが、まあしゃあない。
三嶺山頂で御来光!っていきたかったですが、天気予報通り剣山とその主稜線には雲が掛かり御来光はお預け…
まあ、主稜線が雲を塞き止めているおかげか三嶺は無事だったのがせめての救い。
しかし、これから進む先が雲の中なのでちょっとテンション下がりますが、少し風が強いくらいでコンディションは悪くないので予定通り出発!
三嶺山頂から少し降りてきました。
写真中央に見える巨石は三嶺の巨人と言われています。
朝陽に染まる三嶺が美しい…
三嶺からカヤハゲ(東熊山)までは背の低いダケカンバの稜線。
葉も落ち切ったダケカンバと色褪せた草原が朝日に照らされセピア色の世界が広がります。
こういう荒廃的な雰囲気…、個人的には大好物(笑)
この時期は寂しいですが、この当たりはツルギミツバツツジの群落があり春先は非常に賑やかになるそうです。
白髪山分岐までやってきました。
手前のピークはカヤハゲ、奥が三嶺です。
進む先を見ると白髪避難小屋が。
朝はこの辺りは雲の中だったはずですが、だいぶ抜けてくれたようで有難い。
白髪避難小屋です。
こちらはだいぶコンパクトで10人程度が快適限界かと。
三嶺~剣山縦走路のほどほど中間にあってほどほど綺麗なので三嶺避難小屋に次いで人気の避難小屋だそうです。
しかし、テント場としては認められてない場所にも係わらずいくつかテントもありました。
草地に直接張ることになるので自然への負荷は大きく、見てて気分の良いもんじゃありませんね…
白髪避難小屋から先も時折樹林帯になるものの、基本、展望良好な稜線が続きます。
特に中東山分岐付近の広がる笹原は圧巻。
両手を広げて歩きたくなる路とは当にこの事!気持ちいいー!
それにしても進めば進む先で雲がとれていき、まるで山に歓迎されている感じ。
朝の心配はどこへやら。楽しくてしょうがありません!!
そして、およそ中間の高ノ瀬に着く頃には、ずっと雲が掛かっていた剣山まで姿を現し思わずガッツポーズ!
後は約束されたウィイングロード!いざ行かん!
…
…えーと、どうしてこうなった?
次郎笈手前の小ピーク、丸石の手前からあれよあれよと雲が掛かり、しまいには弱い雨にも振られる始末…
この丸石から次郎笈まで延びる笹原の稜線も楽しみにしていた景色だったのですが、残念無念。
もう、ゴールの剣山まで少しなのに…、どうにかなりませんかねぇ?
そして、そのまま次郎笈山頂到着。
今までほとんど人と合わなかったのに次郎笈山頂は人でいっぱいで今までとの差にちょっと困惑(笑)
剣山が本峰が望めるとしたらここがラストチャンスなのでバスまでの時間を測りつつ晴れ待ちをする事に。
…そして15分くらい待つと雲の切れ間から太陽の光りが!
きたこれーーー!
雲が流れたその先に剣山本峰がーーー!神様ありがとうーー!
次郎笈山頂で休憩していた多くの人たちも大歓声。いつも思いますがこの一体感は嬉しいですよね。
そして、とうとうゴールの剣山山頂に到着!
ありがとう御座います!
…って、さっきの状況のまま晴天の大展望を期待してましたが山頂に着く頃には再び雲の中…
少し残念な気持ちもありますが、ここまで天気が持ってくれただけでも本当に感謝。
剣山山頂部は木道とアンテナ群が立ち並び人口的な感じ。
何も無ければ笹原広がる雄大な風景は広がっていたと思うとちょっと複雑な気持ちになります。
あまりの人多さに山頂散策もほどほどに見ノ越に向かって下山開始。
縦走路と違ってかなり整備の行き届いた路で、軽装の人も多く、すっかり観光登山の趣に。
そして、ここで同じく関東より遠征に来ていたフォロワーさんから連絡があり見ノ越で待っててくれるとの事。
長年相互フォローして頂いていた方でお会いできるのが嬉しかったので、急いで下山する事に。
あまり待たせる訳にいかないと考え最後は観光リフトで一気に下山!
…手抜きじゃないよ!(笑)
そして、見ノ越に下山完了し、剣神社でフォロワーさんとも無事合流。
更に名頃まで車で送っていただき感謝感謝!
車の中では自分の山旅ツイートを色々参考してくれてる事も聞け、こんな風に自分のツイートが他人に影響を及ぼしているなんて思ってなかったのでとても嬉しかったです。
最後は嬉しいサプライズ出会いで締めくくる事ができた三嶺~剣山縦走路。
まるで山々が鼓動しているかの如く、目まぐるしく変わる天候に一喜一憂でしたが、要所要所ではしっかり絶景を拝めることができ、とても充実した山旅になりました。
完璧とは言えませんが、遠征先でこの天気に恵まれた事は感謝しかありません。
これで四国の百名山である石鎚山と剣山は登らさせて頂きましたが、その頂きから望む四国山地の山深さはとても魅力的に見え、登りたい欲は高まる一方です。
冒頭でも書いたように修験が盛んな四国。関東人の自分としては山そのものにとても神秘性を感じる山域でもあるので、また機会を作って登りに来たいと思います。
長文になりましたが、以上です。
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