2020年2月21日金曜日

日本山岳レジャーの原風景「蝶ヶ岳・上高地」【長野県 北アルプス】

そういえば最後に上高地行ったのっていつだったっけ…?

山のテレビを見てて、そんな事をふと思った2019年の10月の終わり。
早速、過去を遡ってみたところ最後に訪れているのが2015年7月の奥穂~槍ヶ岳の縦走で4年前。

上高地と言えば穂高連峰や槍ヶ岳、常念岳などなど北アルプス南部の名峰の登山口。
関東・関西近辺の山好きであれば年に1回は訪れていてもおかしくない場所です。

それが、なんでこんな事に…!?
…と言ってますが、答えは明確で「人ごみ嫌い」。

サマーシーズンや紅葉シーズンのピークともなると、シャトルバスの乗るのに1時間待ち、入っても河童橋周辺では観光客・登山客に揉まれ、やっとこさ入山してもテン場・山小屋もギッチギチ…、世間から離れる為に山に来ているのに、なんでこんなネズミーランド状態にならないといけないのか!?
まあ、そんな状態になるのが目に見えているので、どうしても良いシーズンは敬遠してしまう訳です。

しかし、河童橋から眺める穂高岳、清らかな梓川、それが織り成す山岳風景は素晴らしもので、あの初めて上高地を訪れた時の感動を思い出したくなり、もう人は少ないであろう紅葉のピークも過ぎ冬の入口となる11月上旬に久々に訪れた次第です。

とは言え、上高地だけでは山ヤとしてはアレなので、未踏だった「蝶ヶ岳」で一泊し北アルプスの顔である槍穂高連峰の稜線を楽しむ事にしました。

では、久々に上高地、行ってみましょう!

「蝶ヶ岳」(2677m)
*蝶槍から蝶ヶ岳山頂に続く稜線
2019/11/2-3
コース:
1日目 沢渡→(バス)→上高地BT→徳澤園→(長堀尾根)→蝶ヶ岳(泊)⇔蝶槍
2日目 →槍見台→横尾山荘→上高地BT

早朝、沢渡バスターミナルへ到着。
さすがに11月ともなると人はまばら。
これがピークだと既に行列なんでしょうね…

ちょうど先週に山は初雪が降ったそうなので、登山客と上高地からの三段紅葉狙いのカメラマンが半々って感じでした。

そしてバスに揺られ、4年振りの上高地イン!
早速目指すはもちろん…

河童橋&穂高!!
う~~~ん!やっぱり素晴らしい!!

この風景に魅せられて山を始めた人も少なく無いでしょうね。
山に興味を持って山登りの歴史も色々調べましたが、この風景は日本の山岳レジャーの原点と言っても過言じゃないと思います。

しかも今日は雲一つない青空!
山登り自体もおよそ1ヵ月振りだったので気分もアゲアゲ。

到着はちょうど穂高に朝陽が当たり始めた時間、見るたびに違った表情を見せてくれるので、30分くらい河童橋の周りをフラフラしながら写真撮りまくりでした。

ようやく満足して河童橋から離れ、蝶ヶ岳に向かってスタートを切るも、小梨平キャンプ場から見る穂高連峰に再び足止め。

スタートしてからまだ標高を1mも上げてない気がしますが、ほぼほぼ満足。
若干、もう帰っても良い気持ちを感じましたが、必死で抑え込んで蝶ヶ岳を目指すことにしました(笑)

上高地BTから横尾山荘までは、ほぼほぼ平坦な長い長い林道歩きになりますが、上高地にいたっては梓川のせせらぎや空気の爽やかさと相なってそれほど苦にならないのが不思議です。
まあ、上高地に来た!っていう気持ちの持ちようが大きい気がしますね。


梓川を挟んだ対岸には黄色く紅葉したカラマツが明神岳を彩り、素晴らしい景色が広がっていました。


そして、蝶ヶ岳への登山道である長堀尾根の入口の徳澤園に到着。
徳澤園と言えばやはりソフトクリームですが、それは下山後のお楽しみに取っておきましょう!

休憩もそこそこに、いざ蝶ヶ岳へクライムオン!


むう…、樹林帯が長い…

まあ、地図を見てわかってましたが、ひたすらまでの樹林帯の急登。
今回は贅沢テン泊仕様ということで食事やお酒をがっつり担いでいたので、なかなかの修行登山でした。

ほぼほぼノンストップ&無我の境地で長堀山まで到着。
っていうか、ここまでくれば山頂目前なんですけどね!

長堀山を越えると傾斜も緩やかになり、程なく森林限界突破。
初めて登る山の森林限界を越える瞬間の気分の高まりは異常ですよね!

――――――!!(悶絶)
そこには言葉にするのは恐れ多いと思える程の槍穂高の雄大な峰々が鎮座していました。
疲れが吹き飛ぶこの感覚、久々です。

写真では見たことありますが、やっぱり実際に見るとスケール感に圧倒されますね!

槍ヶ岳!!

穂高岳!!
もう、みんな大好き!

と、同時に蝶ヶ岳山頂到着!ありがとう御座います。
山頂自体は丘のようで目立ったピークではありません。


早速、蝶ヶ岳山荘でテン場の受付。
まだ比較的早い時間だったので場所は選び放題でした。
今夜は風も弱い予報だったので、安曇野市方面が一望できる一等地を確保。
今夜が楽しみ!

そして、日の入りまではまだまだ時間があったので、休憩した後に近くの小ピークの蝶槍まで行ってみる事に。


蝶槍までは槍ヶ岳や常念岳を望むビクトリーロード。
広々とした稜線で危険地帯も無く、お散歩気分で北アルプスの稜線を堪能できます。

実は今回の3連休は3日間とも好天なら2泊3日にして、中日に蝶ヶ岳から常念岳までピストンする予定だったのですが、最終日は荒れ気味になる予報だったので、蝶ヶ岳だけにしました。
常念岳はまだ未踏なので行きたかったのですが…
まあ、燕岳からのパノラマ縦走の時にでもとっておきます!

蝶槍ピークからは槍と名を冠しているだけあって遮るもの無く槍ヶ岳が雄大に望めます。
冬の始まり感じる冷たい風を感じながらしばし槍ヶ岳を堪能。

この後はテントに戻り1人贅沢山めし。頑張って担いできたワインとベーコンたっぷりのポトフで乾杯しました。
(写真は上手く撮れなかったので載せません!(笑))

ご飯の後は夕焼けタイム!
地平線は雲多めで夕日は途中で隠れてしまいましたが、御嶽山、乗鞍岳のシルエットが綺麗でした。

良い一日でした!おやすみなさい…

とは言ってもカメラ小僧としては夜の星空は外せません!
深夜にむっくりおきて星景撮影。やはり街が近いので明るく星空は弱めでしたが、久々に満天の星空を堪能できました。

では、改めておやすみなさい・・・

そして、早朝…
この日は素晴らしいモルゲンロートに恵まれました。
天を突く朝日に染まる槍ヶ岳…、いや~絶景なり!

雲は多いながらも富士山や南アルプスも望め最高の一日の始まりでした。

この日は上高地に降りて帰宅するだけなので、のんびり朝食。

最後に槍穂高連峰の雄姿を目に焼き付けて下山開始。
登りは徳沢からだったので、下山は横尾に降りるコースをとりました。

下山路も登り同様、早々に樹林帯に突入し、賢者モードに(笑)


横尾山荘の少し手前の槍見台からは下の方は尾根に隠れるものの、立派な槍が望めました。

横尾山荘に到着して、とりあえず一区切り!
お疲れ様でした~

四年前にあの横尾大橋を渡って奥穂高~槍ヶ岳の縦走に行ったと思うと少しテンションあがりますね!
…今回は渡りませんが(笑)

上高地BTまでの帰路もカラマツ鮮やかな梓川沿いを楽しめました。

河童橋に到着。
待っていたのは多国籍ないつもの上高地。
海外の方から見ると、この上高地はどのように見えるのかな?
昨年カムチャッカに初海外遠征に行った身としては、以前にもまして気になります。
まじめに聞いてみようと思いましたが、ぱっと見る限り英語通じるのかわからないアジア系の方しかいなかったのでスルーする事にしました。

この後は、すぐバスに乗れ沢渡に帰着。
これでホントの下山完了!

1896年にウォルター・ウェストンによって世界に知られた上高地。
1935年には河童橋までバスが運行されるようになり、一般の人にも身近な観光地となりました。そして、今現在でもこれだけ多くの人に愛される景勝地になったのも、この雄大な山岳風景と四季折々の色彩に染まる自然が世界に誇れるものであったこそだと思います。
この風景を見て感動した人はきっと自然を大切にする人になってくれるはずなので、その感動を与え続ける為に、この日本山岳レジャーの原風景がいつまでも変わらずここに在る事を切に願います。

以上です。

2020年2月9日日曜日

無色の狭間に色づく世界「大朝日岳」【山形県 新潟県】

さあ、久々のお山ネタですが、昨年からすっかりと登った日とブログで公開する日の差が大きくなってしまっています。
やはり、みなさんに足を運んでもらえる切っ掛けとなる山ブログを目指すなら、季節を跨いでしまうのは致命的。いっそのこと1年ずらして公開した方がマシとも思ってしまいます。
ただ、お山の紹介だけでなく、その時自分が感じた感動や体験を記録したい自分としては期間が空けば空くほどその感覚が薄らいでしまう事の方が問題な気がします。

そんな訳で登った日から半年程ずれてはいますが、あまり気にせず思い出が色褪せない内に書き留めていきたいと思います!

今回は2019年10月初旬に山友さん3人と一緒に登ってきた東北の名峰「大朝日岳」を紹介!

「大朝日岳」(1871m)
*小朝日岳から望む大朝日岳への稜線
2019/10/6~7
コース:古寺鉱泉→古寺山→小朝日岳→大朝日小屋(泊) *ピストン

10月初旬ということで目的はもちろん紅葉に染まる大朝日連峰稜線!
全山縦走するべく2泊3日を予定していましたが、予定日の初日は元台風の残骸の影響でかなりの荒れ模様。
泣く泣く1泊2日の短縮コースに切り替え入山する事に。

実はこの山旅、2018年にも計画しており、その時も台風の影響で断念。
昔は10月に台風が来るなんてそうそう無かったと思いますが…、もうこれから10月は台風シーズンと考えないとダメなんでしょうかね…(泣)

さて、1日入山を遅らせたとはいえ、台風によってもたらされた湿った空気は残り、この2日間も晴れるかどうかは微妙なところでしたが、今更転進を考えても行ける場所は似たような状況なので、己の運を信じて登山開始!


登山口は定番の古寺鉱泉。
ちょうど新しい登山基地であるビジターセンターが建設中で、同時に駐車場も整備されているので今後ますます賑やかになっていくのでしょうね。

写真の下は登山口近くの朝陽館。
鄙びたランプの宿として長年登山客を支えてきましたが、10月いっぱいで閉館ということです。ちょっと寂しいですが、こうして代替わりも必要なのでしょうね。

古寺鉱泉をスタートとした場合、普通はピストンですが、今回は遠方よりの山友さんもいたので、車は2台体制。
別の1台はこの古寺鉱泉に来る前に日暮沢小屋前にデポしてきており、2日目は大朝日小屋から竜門山経由の日暮沢小屋へ下山という計画にしました。

車を2台用意できると色々計画の幅が広がってありがたい!!

登り初めは樹林帯。
所々で紅葉は見られるものの標高の低い場所はまだまだこれから。
空には青空も見えており、これからに期待を感じるものの…

古寺山の手前にくる頃にはすっかりガスの中…
なかなか上手く行かないものだと、みんなでガッカリムードになりそうなその時…


雲が流れ小朝日方面の展望が!!
この瞬間の逃すまいと疲れをものともせず全員がベストスポットを探すべく奔走し始めます。
今回一緒に登っているのはみなさんガチ写真勢、さすがの行動力です(笑)

このまま晴れてくれると期待しましたが、そうは問屋がなんとやら。
再び稜線はガスの中へ・・・
みんながガッカリしてカメラを仕舞う姿が印象的でした。
さすがガチ写真勢のみなさん、わかりやすいです(笑)

とは言え、ガスの中でも紅葉は綺麗で、しっとりとした紅葉を楽しめました。

しかし!このままでは終われません!
ちょうど小朝日岳のピークに到達すると、ガスが抜け始め紅葉に染まる稜線が露に!
小朝日に居た自分達以外の登山客も含めて大歓声。
もちろん、青空の下陽の光りに照らされる山々は最高ですが、こういうダイナミックな風景は微妙な天気の時に登った人へのご褒美ですよね!



そして、小朝日を超えてからは時折ガスが掛かるものの大朝日の錦の稜線歩きを満喫できました!
いや~、綺麗だな~。


そして、山頂が近づくと更に天候は回復し青空多めに。
紅葉は少ないですが、草紅葉広がる広大な朝日連峰の稜線が望め、気分は最高でした。

そんなこんなで山頂直下の大朝日小屋に到着。
お疲れ様でした~。
次の日は平日ということもあり、比較的スペースに余裕があって快適でした。

とりあえず小屋内でスペース確保の為の寝床の準備をして、意気揚々と山頂に向かったところ…

No――――!
山頂と稜線には再び濃いガスが掛かり始め展望はお預けに。
なんてこったい…

結局、このままガスは抜ける事なく日の入り。
そのまま小屋で宴会となりました。

結局、雲に振り回された一日でしたが、自分はそんなに悪い気分では無く、むしろ変化に富んだ山の姿が見れて満足でした。

深夜、ふと目が覚めたので外へ出てみると、満天の星空。
街の灯りが思ったより強く上手く撮影できませんでしたが、なんかオマケのご褒美をもらった気分で嬉しくなりました。

では、2日目に期待してしっかり寝ておきましょう。
おやすみなさい…

……

2日目!

どよよ~ん、稜線は昨日に増して真っ白け…

天候もありましたが、山友さんの脚の調子がちょっと優れないということで日暮沢小屋方面に向かっての縦走は無しにして古寺鉱泉まで真っ直ぐ下山しました。

…以上!


1年越しの紅葉の大朝日岳縦走計画でしたが、2年目もこんな感じに悶々とした山旅に終わってしまいました。まあ、山行自体おしゃかになった去年よりも、その片鱗を味わえただけでも良しとしましょう。
そして、もちろん2020年もリベンジ計画があり、今年こそ錦に染まる大朝日岳の全山縦走したいです!