2020年4月30日木曜日

日本百名山著者の足跡を訪ねて「茅ヶ岳」【山梨県】

山に登っている人で日本百名山を踏破してみたいと考えている人は多いと思います。
誰もが山に興味を持ち、登りたい山をネットで色々と調べていると、まず出てくるのがその「日本百名山」。

自分は最初は日本の山登りファンの投票か何かで決めたものかと思っていましたが、実は登山家兼小説家の「深田久弥」先生が山雑誌に寄稿していた連載で取り上げられた山という事を知って驚きました。
ただ、それを知ってしまうと「一個人の選んだ山を日本の代表として良いのか?」「それで山の優劣を決めてしまって良いのか?」のように日本百名山の在り方に少し疑問を感じてしまったのも事実。

しかし、多くの山に登るうちに日本百名山には素晴らしい山が多く、深田先生自ら多くの山に登った上に厳選に厳選を重ねたものである事を知り、更に、この百名山という指針を示す事で登山人口を増やし、山に登れる環境を整え、誰でも楽しめるレジャーに変え、その地域の活性化に繋がるといった今の登山ブームを作り上げたと言っても過言でなく、今では尊敬できる登山家の一人となっています。

さて、今回紹介する「茅ヶ岳」はその深田久弥先生の終焉の地であり、いつかはご挨拶に伺いたい思っていて今回訪れた次第です。

「茅ヶ岳」(1704m)
*金ヶ岳山頂直下付近から望む
2020/2/1
コース:深田久弥記念公園⇔茅ヶ岳⇔金ヶ岳(ピストン)

この「茅ヶ岳」は日本二百名山にも選ばれており、見る場所によっては八ヶ岳にも似ているので「ニセ八つ」とも呼ばれています。
甲斐市やその辺りの中央道からは整った山容が拝めるので、印象に残っている人も多いと思います。

スタートは「深田久弥記念公園」から。
記念公園と言っても少し離れた場所に深田久弥先生の説明と記念碑があるだけなので、実質茅ヶ岳専用の駐車場。
季節は2月、タイミングによっては多くの雪が積もる場合もありますが、記録的な暖冬だったので雪はほぼ無し。

登山道に入りしばらくはフカフカ落ち葉の絨毯。
この日は文句なしの晴天ということで、葉が落ち切った木々の隙間から差し込む陽の光りがなんとも心地いい。
この先週は磐梯山でハラハラドキドキの雪山登山をしてきたので、こういう命の危険を感じない登山には癒されます。(笑)

沢筋の路をゆるゆる登って女岩手前までやってきました。
地図には水場があるようになってますが、現在は落石の危険から女岩に近づけません。

女岩から少しの間は急登でちょっとだけ頑張りどころ。
雪はありませんでしたが、凍結箇所が多く、この時期はチェーンスパイクでもあった方が安全ですね。

急登を越えると傾斜も緩んで再び落ち葉路。
上を向くと透き通る青空。
う~~ん、気持ちいい!

そして、程なく山頂へ延びる稜線へ至り、所々で展望が広がるように。
正面に見えるのは瑞牆山と金峰山。
きっと今日はたくさんの人が登ってるんでしょうね。

後ろには甲府盆地と富士山が。
ヤッホーーーーー!!

展望を楽しみつつ先に進むと本日の目的地「深田久弥先生 終焉の地」があります。
遭難や事故などではなく脳卒中で倒れられたという事です。
68歳は今にしてみれば少し早い感じがしますが、山でその生涯を終えられたというのは、ご本人にとっても納得できるものだったのではないでしょうか。

深田久弥先生に敬意を…、合掌。

では、山頂に向かいましょう!!

終焉の地から山頂までは、やや痩せた岩場の尾根の路。
木々も少ないので、この時期なら展望を楽しみながら歩けます。

そして、茅ヶ岳山頂!ありがとう御座います。

西側には鳳凰三山・甲斐駒ヶ岳、南側には金ヶ岳の奥に八ヶ岳が望め、文句なしの絶景!最高です!!

予定通り時間もたっぷり余っているので、もう一つ奥のピーク「金ヶ岳」に向かってみる事に。

茅ヶ岳から金ヶ岳に向かう途中の西側の斜面には雪がそこそこ残っていましたが、この日は暖かく雪も緩んでおり、ツボ足で十分でした。

金ヶ岳の山頂近くからは、甲府盆地や富士山・南アルプスを背に茅ヶ岳のピークが望めます。
このアングルからだと茅ヶ岳も急峻に見えるので、なかなかカッコイイ!

そして、程なく金ヶ岳山頂へ。お疲れ様でした~

展望は茅ヶ岳ピークからそんなに離れて無いせいか、そんなに見えるものは変わりません。
逆に木々が多いので茅ヶ岳よりイマイチですね…(汗)

とは言え、茅ヶ岳より人も少なく落ち着けるのでここで昼食休憩を取り、その後、来た路をそのまま下山。
半日程度のお手軽登山でした。

ちょっと地味目のお山ですが、危険箇所も少なく山頂からの展望はなかなかなので初心者にオススメですね!
また、百名山目指している人は自分のように一度は深田久弥さんにご挨拶に伺ってみるのも良いかも知れません。

下山後に駐車場近くの記念碑へ。



「百の頂きに、百の喜びあり」

…うん、やっぱり良い言葉です。

以上です。

2020年4月18日土曜日

日本温泉巡り その91 くろがね小屋【福島県 安達太良山】

長い人生色々あるもんですね…

未知のウイルスによってここまで人間社会がおかしくなってしまうものとは今年初めには思いもしませんでした。
とはいえ、まだまだ変化は継続中。自分も含めみなさんもこの変化を不安半分期待半分で受け入れていく段階にあると思います。

と、そんな中でも変わらないものもあって良いじゃない!
と言う訳で我がブログは平常運転でいってみたいと思います。

今回は温泉巡り、その91!
福島県の名峰「安達太良山」の中腹にある「くろがね小屋」の温泉を紹介します。

「くろがね小屋」と言えば山&温泉好きの方々には有名で人気な場所。
そんな場所が本ブログ初登場を不思議に思ってる人もいると思いますが、この温泉は今回が初来訪って訳ではありません。
実はブログが山と温泉一辺倒になる前に行ったことはありますが、その時は写真も撮っていなかったのです。
そして、年月は流れ…、温泉巡り100回前には必ず紹介したい温泉ということで、今冬再訪した次第です。

では、今回は簡単な登山ブログとセットでレポしていきます!

登山口は「奥岳登山口」
当日は天気が荒てるようなら温泉のみ、晴れそうなら山頂経由で温泉へ、って計画でいました。
登山口に着いた時点では山頂付近は雲が掛かっているものちょこちょこと晴れ間が見えていたので、とりあえず山頂へ向かう事に。
さて、吉とでるか凶とでるか…

とりあえずスキー場リフトはまだ運行前だったのでスキー場脇を登って薬師岳を目指します。ちょうど一週間くらい前に雪がたっぷり降ったおかげで今季初めてのモフモフ新雪、楽しい~!

薬師岳を越え、ほんとうの空が見える場所へ。
残念ながら断続的に雲が掛かり、ほんとうの空はちょっとだけでした。

さて、色々端折ってとりま山頂!


やたーー爆風&極寒!!今冬初めての冬の洗礼に楽しくなりました!!

まあ、途中からこうなるのはわかっていましたが、これも温泉を気持ちよく味わう為のスパイス!

では、くろがね小屋に向かいましょう!

山頂からくろがね小屋までは、ややホワイトアウト気味。
知った山とは言え、やはり誰も歩いてない中この状態は緊張感があります。
まあ、この緊張感も温泉を気持ちよく味わう為のスパイス!(変態)

更に標高を下げガスを抜けた頃、目的地の「くろがね小屋」が見えてきました。
硫黄の香りもただよってきて、もう気分は温泉まっしぐら。

ちょうど前日の宿泊客は抜け、今日の天気もイマイチって事でお客さんは誰もいないようです。
うむ、狙い通り!!

この名湯を独泉できるとわかって気分は最高!
では頂きます!!

いやーーーーーー!生き返る!!!!
極寒の山を歩いて冷え切った身体には何事にも変えられぬ最高のご褒美。
もう遭難確定(笑)

小さな内湯にこんこんと注がれる山のいで湯は、白濁ししっかり硫黄香る単純酸性泉。
源泉温度も66度近くあり、湯舟のお湯はやや熱めですが、涼しい山小屋という環境であれば適温。特にこの極寒の季節であれば適温どころか神温!!

独泉なのを良い事に窓を開けて外の吹雪と中の温泉天国のギャップを楽しみながら、1時間近くも極上温泉を堪能しました。

ごちそうさまです!

帰りは整備された半林道を歩いて奥岳登山口へ下山。
今回自分は山頂を経由しましたが、温泉だけなら奥岳登山口からこの林道を歩いてくれば良いのでだいぶ敷居は下がり、山慣れしてない人も十分来れると思います。

久々の来訪でしたが、やはり名湯!
オススメです!!

ちなみにくろがね小屋の温泉は麓の岳温泉街の源泉となっています。
ただ、岳温泉街のお湯も十分名湯ですが山を流れ下る間に源泉の鮮度は失われ加温加水しており、この源泉の良さを100%味わう事ができません。
岳温泉の良さはこのくろがね小屋のお湯が本物なので、まだの方は是非!!

来訪日:2019/12/8
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<超絶名湯オススメ温泉 トップ5> 2020.4月現在
 1位 籐七温泉「彩雲荘」(岩手県)
 2位 明礬温泉「鶴乃湯」(大分県)
 3位 姥湯温泉「桝形屋」(山形県)
 4位 乳頭温泉「鶴の湯」(秋田県)
 5位 野地温泉ホテル(福島県)
 
<超絶名湯オススメ温泉(ランク外)>
 ・登別温泉「夢元さぎり湯」(北海道)
 ・酸ヶ湯温泉 (青森県)
 ・後生掛温泉 (秋田県)
 ・玉川温泉(秋田県)
 ・銀山温泉「永澤平八」(山形県)
 ・鳴子温泉「滝乃湯」(宮城県)
 ・新湯温泉 共同浴場(栃木県)
 ・奥鬼怒温泉「手白澤温泉」(栃木県)
 ・万座温泉「豊国館」(群馬県)
 ・熊の湯温泉「熊の湯ホテル」(長野県)
 ・白馬鑓温泉(長野県)
 ・塚原温泉「火口乃泉」(大分県)
 ・新湯温泉「霧島新燃荘」(鹿児島県)
 ・吹上温泉「みどり荘」(鹿児島県)

その他、極上オススメ温泉は「全国極上温泉マップ」にて紹介しています!

2020年4月12日日曜日

冬の始まりの甲斐駒ケ岳 【山梨県 長野県 南アルプス】

甲斐駒ってちょーーカッコイイですよね!!

って、微妙に頭悪い一言で始まりましたが、共感してくれる人は多いはず!
あの甲府から眺める急峻な山容は日本屈指のイケメンな山だと思っています。
日本10名山を選べと言われれば入れ込む人も多いのでは無いでしょうか?

もちろん自分も大好きな山なので過去夏に2回ほど登っていますが、いずれも天気に恵まれず山頂からの展望は見たことがありません(泣)
そんな相性の悪い山なので、普通は嫌いになってもしょうがないのですが、それでも好きなのはやっぱりあの下界から見える威風堂々とした山容のおかげかと。

そんな訳で夏に登るのはちょっと及び腰になってしまったので(笑)、次は冬に!と考えていたところ2019の12月中旬に天気と休みのタイミングが合ったので突撃きました!

さて、3度目の正直となるか?2度あることは3度あるになったのか?
レポいってみたいと思います!!

甲斐駒ケ岳(2967m)
*黒戸尾根五合目小屋跡付近より望む

<1日目>

今回は尾白の駒ケ岳神社から黒戸尾根を登り七丈小屋で一泊して、山頂付近で御来光、そのまま朝陽に染まる南アルプスを堪能する予定です。

この甲斐駒ケ岳は北沢峠から登るのがメジャーですが、過去自分が登ったのは全て黒戸尾根。別にMって訳ではなく(笑)長野県側に回り込むのが面倒くさいだけです。
茨城県から来る場合は都内を抜けるってだけで精神的疲労があるので、それにプラスして南アルプスを迂回して裏側に回り込むのは距離以上に遠く感じてしまうのですよ。

それにもうこの時期は北沢峠までのバスは無く、更に今年(2019年)は台風19号の影響で河原沿いの路は崩壊しているので、今甲斐駒登るなら黒戸尾根一択でした。

まあ、3回目で勝手はわかっているので気軽なもんです。

駒ケ岳神社の脇の吊り橋を渡り入山。
南アルプスは吊り橋渡って入山、て山が多いですよね。
なんか冒険の始まり!って感じがしてワクワクします。

少し登ると尾白渓谷遊歩道との分岐があります。
尾白渓谷への路は台風の影響で通行止めになっていました。通常時もそれほど安全な路では無かったのでしょうがないですね…。早い復旧を願ってます。

その後は延々とした樹林帯の登りですが、ちょうど朝陽も差し込み山々が輝き初めました。
登山道はふかふか落ち葉がどっさり、冬の始まりを感じさせます。

経験上こういう道は登りは良いですが、下りは足元を捕られやすく難儀するんですよね…
(案の定、帰りは難儀しました(笑))


笹ノ平分岐を過ぎると植生が変わり、その名の通り笹原が広がります。
しばらくはやや傾斜も緩くなるので、個人的には黒戸尾根の癒しタイム。

その後の急登を超えると、ぽっかり視界が広がります。
そう、ここが黒戸尾根で有名な「刃渡り」。

刃渡りではこれまでで一番の展望が広がります。
特に八ヶ岳方面の展望は疲れを吹き飛ばしてくれる絶景!
…まあ、しかし12月中旬と言えども八ヶ岳の雪の少なさにはびっくりです。

逆方向に目を向けると富士山もひょっこり。

その名の通り両側は切れ落ちた断崖絶壁なので、展望に見とれて足を滑らさないように気を付けて下さい(笑)

刃渡りを過ぎると登りも一段落し、五合目までは比較的緩やかなトラバース道になります。
そして、植生もまた変化して今度はコケ蒸した森に。

ふかふか落ち葉から始まって、笹原を経てコケの森へ。色々な山の姿がみれてなかなか面白い道だと思います。


そして、少しだけ標高を下げ休憩スポットの五号目小屋跡に到着。
ここからは迫力の甲斐駒の本峰が望めます。
南アルプスでは12月の初めにそこそこ雪がふったおかげで雪はしっかり残ってそうです。
明日は今冬シーズン初の雪踏みになりそうで楽しみ!

さて、ドM御用達の黒戸尾根はここからは本番!梯子地獄の始まり~!
ちなみにこの新しい梯子が掛かっている場所は台風19号で崩落した場所ですが、ちょうど先週復旧したそうです。
山関係者のすばやい対応には感謝しかありませんね。

7合目の七丈小屋までは、垂直に近い梯子&鎖場の連続。
今となっては、先も読めるので気軽なもんですが、初めて登った時には五号目までの疲れもあって完全に心を閉ざして登ったのは良い思い出です(笑)

この時は小屋近くになってくると着雪や凍結も多くなり場所によってアイゼンがあった方が良い感じでした。

そんなこんなで七丈小屋到着!初日はここまで、お疲れ様でした!
普段は人気の山小屋ですが、この日は先週の積雪と、登山道が復旧した直後って事で比較的空いてたように思えます。

日が沈みかけた頃、ぶ厚い雲が掛かり雪が舞い始めました。
日常も含めて今シーズン初めての雪、明日の新雪に期待して就寝。
おやすみなさい…

<2日目>

おはよう御座います!

計画通り森林限界を超えた頃に御来光迎えるべく5:00に出発!

甲府の夜景をバックに月灯りとヘッドランプを頼りに順調に標高を上げていきます。
しかし、予想より風が強くなかなかハードコンディション。
更に雲が多くて御来光が微妙な感じ。ちょっとテンションが下がってしまいますね…

八合目、御来迎場に到着。
ここで御来光を拝む予定でしたが、少し早いようでもう少し先に進むことにしました。

八合目以降は傾斜のキツイ岩場とルンゼが続く難路。
着雪もまだまだ甘く、岩と氷のミックスで不安定なのでなかなか緊張感がありますが、久しぶりにアイゼンとピッケルでしっかり登っている感覚は楽しい!

と、良い感じに登っていると、雲と雲の間から御来光!!

と同時に、黄金に染まる山肌。
今回も登って良かった!と思えたわずか2分程度の絶景でした。

甲斐駒名物、二本の鉄検と富士山と鳳凰三山!
朝焼けバックはなかなかの神々しさでした。

さて、危ない場所も過ぎて山頂直下の稜線へ。
太陽は再び厚い雲の中に隠れてしまい冬らしい色の無い世界に。
でも、この引き締まった雰囲気は嫌いじゃありません。

山頂到着。ありがとうございました!
天気予報では晴れ予報だったので、この雲の多さはちょっと残念ですが、視界があるだけでもう最高(笑)

北岳方面

仙丈ケ岳と中央アルプス方面

山頂からはこんな景色が広がっていたんですね…(感無量)

まだまだ風もあり、のんびりできる環境では無いので、この景色を心に刻んで早々に下山開始。

正面に八ヶ岳を望みながら稜線を下っていきます。

晴天を信じてやってきた3回目の甲斐駒でしたが、ガスにまかれてNO展望だった過去2回よりマシとはいえ、この雲の多さに残念だったのが正直なところ。
ただ、冬の南アルプスの力強さと美しさを感じる事ができたのは良かったです。
次こそはこの景色を青空の元で見よう!と冬の甲斐駒再トライを決意しました。




帰りの黒戸尾根から甲斐駒本峰。
晴れてるようだが、きっと気のせい…(笑)

以上です!
長文でしたが、最後まで読んでくれた人、ありがとう御座いました!