2021年12月25日土曜日

日本温泉巡り その113 地獄温泉「清風荘(青風荘)」【熊本県阿蘇郡】

 温泉王国の九州。
自分も良質な温泉求めて何度も訪れていますが、気になってはいたものの入れずにいた温泉がありました。
それが、今回紹介する地獄温泉「清風荘」さんです。

地獄温泉「清風荘」と言えば、開湯200年を超え今なお色濃く残る湯治風情と良質な硫黄泉で全国区で人気の温泉宿でしたが、2016年の熊本地震とその後の大雨の土石流の影響で建物の8割以上が壊滅的被害を受け長期休業となっていました。

当時、自分は行きたい温泉の筆頭に上げていましたが、この被害を聞いた時にもう行く機会が失われてしまったのではないかと考えがっかりしたのを覚えています。

しかし、シンボルであった混浴露天の「すずめの湯」は変わらず湯が湧き続けていたおかげで、2019年には入浴のみで再開、そして今(2021年11月)現在は3組限定で宿泊も受付けるまで復活できています。

その話を聞き2021年の晩秋の九州旅で今回行きたい温泉のマストとして訪れてみる事にしました。

在るのは熊本県阿蘇郡、阿蘇山の南西側山麓。
阿蘇山は火の国九州を象徴する巨大カルデラで「清風荘」はそのカルデラ内にあります。
火山好きな自分としては、もうその時点でワクワクしてしまいますね(笑)

温泉の入口付近ではまだまだ復旧工事が行われており、被害の大きさを感じられます。

被害に会う前は歴史ある湯治宿という事でしたが、新しく建てた受付や宿泊錬はコンクリート造りログハウス風の近代的な建物で湯治風情はどこへやら。
湯治風情が失われてしまった事が残念に感じてしまったのは事実ですが、火山と共にある土地として今後起こりえる災害を考えるとしょうがないのでしょうね。
きっと関係者も相当葛藤があったと思います…

「清風荘」のシンボル「すずめの湯」。
「ずずめの湯」は混浴ですが、更衣室と内湯は男女別になっており「すずめの湯」に入る時は男女共に湯浴み着必須になっています。
*湯浴み着は有料でレンタルあり(持ち込みもOK)

飛び石連休最終日だったので混雑してるかな~、って思ってましたが、空いてるようで一安心。

では、九州が誇る名湯いただきます!!

湯舟は10人くらい入れそうな浴槽が2つ。
それぞれ「熱湯」と「ぬる湯」になってます。
湯温は加温加水で調整している訳ではなく、湧き出る湯温そのままのようです。
素晴らしい!

地震被害を受ける前は知りませんが、以前写真等で見た姿からあまり変わって無い気がします。

お湯はしっかり硫黄香り濃厚に白濁する単純酸性硫黄泉。

個人的に好きな泉質なのでお湯だけでも高評価ですが、なんと言ってここの特徴は足元自噴!絶えずポコポコと足元から湧き出る温泉は鮮度抜群で、これだけ新鮮な硫黄泉が味わえるのは日本でも貴重だと思います。

さすが、九州最高峰と謳わられるのも納得の極上泉でした。

これだけの良泉が災害で失われる事がなくて本当に良かったと思います。
まだ宿泊業は限定的なので復旧の道半ばですが、復旧に携われた方々には感謝しかありません。
これからも多くの災害リスクを考えていかないといけない土地だとは思いますが、頑張って欲しいと思います。
今度は宿泊で応援しに行きます!

以上です。

*「清風荘」さんは今回の水害を受け、再開に辺り「青風荘」に改名したそうです。
HPやその他記事では両方の名前が使用されているのでご注意下さい。

来訪日:2021/11/23
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 <超絶名湯オススメ温泉 トップ5> 2021.12月現在
1位 籐七温泉「彩雲荘」(岩手県)
2位 明礬温泉「鶴乃湯」(大分県)
3位 黄金崎不老ふ死温泉(青森県)
4位 日景温泉(秋田県)
5位 乳頭温泉「鶴の湯」(秋田県)

<超絶名湯オススメ温泉(ランク外)>
見市温泉旅館 (北海道)
酸ヶ湯温泉 (青森県)
後生掛温泉 (秋田県)
玉川温泉(秋田県)
須川高原温泉(岩手県)
銀山温泉「永澤平八」(山形県)
姥湯温泉「桝形屋」(山形県)
鳴子温泉「滝乃湯」(宮城県)
野地温泉ホテル(福島県)
・地獄温泉「清風荘」(熊本県)
新湯温泉「霧島新燃荘」(鹿児島県)
吹上温泉「みどり荘」(鹿児島県)

その他、極上オススメ温泉は「全国極上温泉マップ」にて紹介しています!

2021年12月7日火曜日

南アルプスの女王様「仙丈ケ岳」【長野県 山梨県】

 山に登っていると人間以外に様々な「男」と「女」を見かけます。
なにかと急峻だったり急坂だったりするものには「男」、それに対するように穏やかだったりなだらかだったりするものに「女」が冠されています。
例えば筑波山の男体山・女体山、丹沢大山の男坂・女坂、などなど挙げればキリが無い気がします。

今回山旅レポする「仙丈ケ岳」は穏やかなカール状の地形が女性ライクで南アルプスの女王様と呼ばれています。
じゃあ、王様は?って考えるとなんとなく「北岳」を思い浮かべる人が多いと思いますが、色々調べてみると「仙丈ケ岳」が女王たる所以は、甲府側から南アルプスを見ると「甲斐駒ケ岳」の影に隠れて見ないことから、その奥ゆかしさ故の女王様という説もあるようで。
その説では王様は「甲斐駒ケ岳」になるのですが、自分としてはその方がなんとなく「仙丈ケ岳」が可愛く感じれるのでその説を推したいですね!(笑)

では、前振りはこれくらいにして山旅レポいってみましょう!

「仙丈ケ岳」(3032m)
*子仙丈ケ岳から望む

コース:北沢峠→子仙丈ケ岳→山頂→馬の背ヒュッテ→北沢峠
累積標高:±1225m

コースは戸台口(仙流荘前)からシャトルバスで北沢峠に行き、そこからの周回コース。
まあド定番ですね。
この日は久々に晴天予報の日曜日ということで5時半始発のバスにも係わらず4時くらいから人が並び初めていました。

それにしてもここに限らずシャトルバスを使う所は並び方にそれぞれルールがあるのが悩みどころ。
ここ戸台口はバス乗車場所に先に荷物をおいて、人はチケット販売所に並ぶルールな様ですが、知らずに荷物を持ってチケット販売所に並んでいるとバスに乗るのは後回しにされてしまいます。
個人的にはこういった場所は初見でもわかるようにルールを決めて表示しておいて欲しいと思いますね…

自分は車中で前泊していて、たまたま4時頃トイレに行った時にすでにバス停に荷物が置かれていたのを見かけたので、自分もすぐに場所取りできましたが、それが無かったら始発のバスに乗れなかった気がします。

とりま始発のバスで北沢峠に到着。
仙丈ケ岳と同じく最短で登れる甲斐駒ヶ岳には過去3回登ってますが、いずれも山梨県の尾白から黒戸尾根で登ってるので、実は北沢峠は初めて。

仙丈ケ岳への登山口。
北沢峠からの日帰りCTは約7時間。
帰りのバスまで十分時間はありますが、バス停に並んでいたたくさんの人が列を成して登るのを想像するとげんなりしてしまうので、あまり人が来る前の登頂を狙い気持ちペース早めにスタート!

南アルプスらしい深い樹林帯の中、標高を上げていきます。
人気のあるコースでコースも整備されているのでさくさく歩けますね。
北沢峠で既に標高は2000mを超えており、朝も夏日の下界とは空気が違います。
さわやか~!

あっと言う間に5合目の藪沢・小仙丈ケ岳分岐に到着。
自分はもちろん仙丈ケ岳カールを真っ先に見たいので小仙丈ケ岳方面へ!
下山は藪沢小屋を経由してここに戻ってくる予定です。


6合目を過ぎると森林限界突破。
後ろを振り返ると甲斐駒ヶ岳の凛々しいお姿がどーーん!
今までは甲府方面からしか見たことなかった甲斐駒ですが、こちらからのお姿もかっこいい!鋸岳への稜線もよく見えるので、甲府方面から見た姿よりどっしりした感じをうけますね。

そして、小仙丈ケ岳に到着。
本山旅で一番楽しみにしていた仙丈ケ岳のカール地形。
最高の天気の下で望めて感無量。
南アルプスも氷河に覆われていた時代があったと考えるとロマンを感じますね!


そして山頂までは最高の稜線歩き。
後ろには北岳や鳳凰三山の南アルプス北部の山々と、北岳の後ろにひょっこり富士山。
さすがは3000m峰!
久々にアルプスの高山風景を思う存分楽しめました。

そして、程なく山頂到着。
ありがとう御座いました!


展望は申し分なし!
中央アルプスに北アルプスもばっちり!そして南アルプス南部への稜線がなんとも雄大。
いつかは歩きたい仙塩尾根。
塩見岳から見た時も思いましたが、やっぱりキツそうですね…笑

ペース早めに来たおかげで静かな山頂を楽しむ事ができました。

山頂を後にして仙丈小屋まで降りてきました。
さて、ここで時刻は10時前。
予定では帰りのバスは15時としていましたが、このまま下山すれば13時のバスに間に合いそうです。
ホントはここで昼食をとる予定でしたが、昼食には少し早いのとバスも中途半端に13時便を逃すと2時間待つことになるので、昼食をキャンセルして下山を早める事にしました。
のんびり昼食&お昼寝でも良かったのですが、茨城までの帰路と明日は魔の月曜日という事を考えると…、社会人の性が妬ましい…!


そんな訳で後ろ髪惹かれる思いでサクサク下山!
途中には食害防止用の柵が多くあったのが少し痛々しかったですね…

結局、12時前には北沢峠に戻ってきてしまいました。
昼食タイムしてる時間はあったみたいですね、勿体ない…
山と高原地図のCTは相当甘くなってるようです。

折角来たのに速攻で降りてきてしまったのは残念でしたが、とりあえずお疲れ様でした!

下山時に乗り継ぎバスの間の徒歩区間でアサギマダラの群れを見かけました。
名前だけは知っていましたが、実物をまじまじ見るのは初めて。
フワッフワッと舞う姿はなんとも優雅。
こんな小さな身体に渡りをする持久力は備わっているとは驚きですよね。
いいもの見れました。

なんとなく仙流荘までの道のりが遠いのと、シーズン中の人の多さを懸念して後回しになっていた仙丈ケ岳ですが、最高の日に登れて本当に良かったです。
一番見たかった迫力のカール地形も堪能でき大満足な一日でした。
次に機会があれば、やっぱり塩見岳と繋いでみたいですね~

以上です!