2020年11月29日日曜日

日本温泉巡り その99 渋温泉「渋大湯」【長野県下高井郡】

さて、紅葉シーズンも終わりいよいよ冬本番!
昨シーズンは記録的な暖冬のせいかほとんど雪見温泉を楽しむ事ができず非常に悔しい思いをしました。特に2月に訪れた「銀山温泉」…、まさかこの時期にほぼ雪無しとは、今思い出してもグヌヌ…ですね。

今冬はラニーニャ現象によって低温傾向にあるという事なので、雪にも期待したいところですが、11月下旬の時点ではいまだぱっとせず、ちょっと心配になっています。
温泉に限らずスキー場を主とした冬の観光需要の為にも、しっかり降って欲しいですねー!

では、温泉巡り その99!
今回は、渋温泉「渋大湯」を紹介します!


渋温泉は志賀高原の麓、夜間瀬川沿いに多くの温泉旅館が軒を連ねる長野県きっての温泉郷です。開湯は1300年頃と言われる程に歴史ある温泉ですが、近年では「千と千尋の神隠し」に登場する温泉旅館のモデルとなったと言われる「金具屋」さんや、カプコンのゲームのモンスターハンターとのコラボで話題になっていますね。

自分もずっと気になっていた温泉ですが、山旅の動線に組み込み難くなかなか行くきっかけがありませんでしたが、今夏の強制有給消化で行った信州温泉巡りの際に立ち寄るができました。
渋温泉といえば外湯巡りが有名で全部で九つの外湯がありますが、立ち寄り入浴で入れるのは一つのみで、それが今回紹介する「渋大湯」になります。

「渋大湯」に入るには渋温泉の公共駐車場で駐車代とは別に入浴料を支払い入浴券をもらい、それを管理している旅館に見せて鍵を貸してもらう or 鍵を開けてもらうシステムになっています。
鍵を管理している旅館は入浴券に書いてあるので参考にして下さい。

自分が訪れたのは平日のオープン時間ちょうどという事もあって、大湯まで案内して頂き鍵を開けてもらいました。

つまり、この日の一番風呂!!しかも独泉!!すげー嬉しいーーーー!

建屋に入ると外湯の共同浴場らしくシンプルに脱衣所と内湯のみ。
一番風呂なのでお湯は湯船から絶賛オーバーフロー中!
案内してくれた人に「ありがとう御座いましたー」と平静を装ってお礼を言ってお別れしますが、心の中はもうテンションマックス!(笑)

では、最高鮮度のお湯、頂きます!
って、アッチィィィィーーー!!!

鮮度も最高って事は温度も最高。
まあ、源泉温度60℃越えの源泉がそのまま注がれていればそうなりますよね…

餌を目の前にお預けされている犬の気持ちを考えながら、水を注ぎ待つこと15分。

では改めて、頂きまーーす!

泉質は薄く灰色に濁り、鉄味・微塩味を有するナトリウムーカルシウムー硫酸塩泉。
源泉の湧出口も近く、熱々の鮮度抜群のお湯がおしげも無く注がれています。
鉄系の温泉という事でお湯にやや硬さは感じるものの、身体に沁みわたりすぐにホカホカに。
はぁぁぁ~~、沁みるわ~。

さすが昔から残る名湯、来て良かったと思える極上湯でした!

とは言ったものの、この日は外気温は30度越えの夏日で、高温の渋温泉を楽しむのは少し不利な条件でした。きっと寒い時期ならもっと気持ちよく楽しめると思うので、雪ふる季節に他の外湯も楽しむ為に是非泊まりで再訪したいですね。

以上です。

来訪日:2020/8/15

<オマケ>
渋温泉の近くには、世界的に有名な温泉に入るニホンザルに出会える「地獄谷野猿公苑」があります。
さて、こんなクソ暑い日に温泉に入るもの好きな猿はいるのか!?
たぶんいないだろうな~と思いつつも突撃してきました!


お猿さんはいっぱいいましたが、さすがに温泉に入る猿は皆無。
…うん、だよねーー(ガッカリ

こんな日に温泉に入る猿がいれば、きっと美味い酒が飲み交わせると思っていたのですが…(笑)

まあ、また冬に出直してきます。

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 <超絶名湯オススメ温泉 トップ5> 2020.11月現在
1位 籐七温泉「彩雲荘」(岩手県)
2位 明礬温泉「鶴乃湯」(大分県)
3位 姥湯温泉「桝形屋」(山形県)
4位 乳頭温泉「鶴の湯」(秋田県)
5位 黄金崎不老ふ死温泉(青森県)

<超絶名湯オススメ温泉(ランク外)>
登別温泉「夢元さぎり湯」(北海道)
酸ヶ湯温泉 (青森県)
後生掛温泉 (秋田県)
玉川温泉(秋田県)
銀山温泉「永澤平八」(山形県)
鳴子温泉「滝乃湯」(宮城県)
野地温泉ホテル(福島県)
新湯温泉 共同浴場(栃木県)
奥鬼怒温泉「手白澤温泉」(栃木県)
万座温泉「豊国館」(群馬県)
熊の湯温泉「熊の湯ホテル」(長野県)
白馬鑓温泉(長野県)
塚原温泉「火口乃泉」(大分県)
新湯温泉「霧島新燃荘」(鹿児島県)
吹上温泉「みどり荘」(鹿児島県)

その他、極上オススメ温泉は「全国極上温泉マップ」にて紹介しています!

2020年11月16日月曜日

朝に輝く木曽の峰 「空木岳・南駒ケ岳(中央アルプス)」【長野県】

みなさんも御存知でしょうが日本には3つの代表的アルプスがあります。
氷河の作り上げた荒々しい岩稜の織り成す北アルプス(飛騨山脈)、深い森と豊富な植生と一つ一つの山の存在感が大きい南アルプス(赤石山脈)、そしてその両方の特徴を備える中央アルプス(木曽山脈)です。

その中で今回紹介する中央アルプスは北や南と比べ規模は小さいですが、最高峰の木曽駒ケ岳はロープウェイによってアクセスが容易であり、迫力の氷河地形の千畳敷カールや、大展望の稜線とアルプスの魅力を登山初心者でも楽しめる人気の山となっています。
初アルプスは木曽駒ケ岳で、ここでアルプスの魅力にハマったという人も多いと思います。
かくいう自分も初のアルプステン泊は木曽駒ケ岳でした。

ところが木曽駒ケ岳以外に目を向けると、意外にもあまり話題に上がらないのも、この中央アルプスの不思議なところ。
主稜線上にもう一つの日本百名山である空木岳がありますが、ここも池山尾根を使っての日帰り体力勝負が主な登頂方法になっており、主稜線の話をあまり聞きません。

はてはて?どうしてか?
天邪鬼な自分としては逆に興味が湧き、空木岳に登るならこの主稜線を歩いて行くと決めてチャンスを伺っていましたが、コース上で泊まれる場所は駒峰ヒュッテか木曽殿山荘となり連休となればいずれも混雑必須だったので人混み苦手な自分としては敬遠してました。
しかし、2020年コロナ禍の影響で受入人数を制限していた木曽殿山荘の予約が取れた事でギューギュー詰めの心配が無くなったので、今夏決行!

では中央アルプス主稜線縦走レポいってみましょう!

「空木岳」(2864m)
*山頂直下から望む

「南駒ケ岳」(2841m)
*赤椰岳から望む

コース
8/28 官の台バスセンター→(バス・ロープウェイ)→千畳敷→極楽平→檜尾岳→熊沢岳→木曽殿山荘(泊)
8/29 →空木岳⇔南駒ケ岳→(池山尾根)→駒ケ岳スキー場駐車場
累積標高(上り): 1532m
累積標高(下り): 3230m

<1日目>

当日は下山口の駒ヶ根高原スキー場の駐車場に車をデポして徒歩で官の台バスセンターに。
券売所オープン直前には300m近い行列。
あ、あれ?今日は平日(金曜日)じゃなかったっけ…?
久々に来ましたが木曽駒人気は健在。

今回道程は、初日に池山尾根を登り空木岳に登頂して2日目に主稜線を歩いて千畳敷に戻るコースか、その逆かと直前まで悩んでいましたが、初日はガス多めで確実に晴れ間が望めそうなのは2日目午前中だけのようなので、晴天時に空木岳登頂を優先して千畳敷スタートとしました。

どうにか始発のバスに乗り、ロープウェイで千畳敷へ!
下界からあっと言う間に標高2500mの別世界へ。
今となっては見慣れた世界ですが、山を始めた頃は本当にワクワクしたものです。

千畳敷カールで準備をしていると稜線はあれよあれよと雲の中。
もうちょっと粘って欲しかったですが、まあ天気予報通りなのでしょうがない。
時折晴れてくれる事を祈りつつクライムオン!


千畳敷駅を眼下にカールを登ります。
途中には綿毛となったチングルマの群落もあり、きっと初夏は素晴らしいお花畑が広がると思います。

あっと言う間に稜線上の極楽平に到着。
それにしても人がいない。こちら側に登ってくる人は自分以外に一人だけ。
バスセンターの大行列はいったどこへやら(笑)

そして、これから進む稜線はガスの中…
視界を遮るものは無く、晴れていれば素晴らしい景色が広がっていると考えるとやっぱり残念。
でも、風も弱く人の気配も無く、聞こえるのは鳥の声だけと、個人的には悪くない山の雰囲気なので気を取り直していざ出発!


稜線を進み少し標高を下げると雲の下に出たのか稜線や下界の街並みが見えるようになりまた。
晴れてれば楽しく歩けそうな道なのに人気がイマイチなのが信じられません。

檜尾岳を正面に捉えます。
登り返しもそこそこあり立派なピークですが、稜線歩きスタートの極楽平よりは標高は低いんですね(笑)


檜尾岳到着!
再び雲の中ですが、駒ヶ根市側に目を向けると檜尾避難小屋が見えました。
この避難小屋は木曽駒と空木のちょうど中間地点にあり、両方をまとめて縦走するなら良い立地なのでシーズン中はなかなか混み合うそうです。
これだけ景色も良い場所にあるので人気があるのも納得。

さて、この檜尾岳が千畳敷~木曽殿山荘までのおよそ中間地点で、ここまでは展望の広がる歩き易い尾根路でした。
「こんな気持ち良い路なのにどうして北や南に比べて人気が出ないのか?」そんな疑問が湧いてきますが、実はここから先がこの縦走路の真骨頂(悪い意味で)でした…


檜尾岳を過ぎると歩き難いハイマツ帯や、大きな岩を乗り越えたりするような地図からは見えないアップダウンの連続でなかなか思うように進めません。
おまけに天候も悪化し、雨にも降られる始末。

こうなったらアルプスのアイドル雷鳥さんでも出てきてくれれば嬉しいのですが、そんな出会いも無くテンションはダダ下がり。

うん、北や南に比べ人気がイマイチなのがよくわかりました(笑)

そして、そのまま雨に降られ続けるも無事木曽殿山荘に到着。
初日終了、お疲れ様でした。

小屋近くの水場「木曽義仲の力水」は今シーズンは8月中旬には枯れてしまったようなので晩夏に計画する場合はご注意下さい。小屋でペットボトルのミネラルウォーターは購入可能です。

日没直前にようやく少し雲も抜け、夜は満天の星空。
暑くも無く寒くも無くちょう度良い気温だったので、しばし寝転がって星空を堪能できました。
コロナ禍以降、久しぶりに山で過ごす夜だったので嬉しかったですね!

<2日目>

おはよう御座います!
密にならない快適な山小屋のおかげで睡眠もバッチリ!

山小屋としては人数が少なくなる=売り上げが減るという事なので、大変だとは思いますが利用側としては正直悪くない感じ。
個人的にはコロナ禍が過ぎてもこの快適さはありがたいので、客単価を上げてもこの状態を維持して欲しいなんて思ってしまいました。

この時期は山荘から御来光は山に隠れて拝めないとの事なので、できるだけ展望が良い場所まで行こうと思い未明に出発。

しかし、山荘前は天気予報に反して薄いガスが掛かる微妙な状態。
標高を上げればガスが抜けてくれる事を信じて歩みを進めます。


そして、地平線がオレンジに染まり始めると同時にガスも薄くなり、正面に空木岳が姿を表します。
昨日は見れなかった空木岳…、木曽駒と違い鋭い岩峰で成り、薄い雲を纏う姿は圧倒的存在感…!

おおおおおーー!空木岳カッコイイ!!
こんなカッコイイ山だなんて聞いてません!

そして、標高2782地点で御来光。


滝雲が流れる中央アルプスの主凌線や、朝焼けに染まる空木岳は言葉にならない美しさ。
この瞬間の感動はやっぱり何度味わっても最高ーー!


久々の山での朝を堪能した後は空木岳へ最後の登り。
岩峰の間を縫いながらのハードな道のりですが、これだけの絶景に囲まれながらだと疲れも感じません。

そして、空木岳山頂!
ありがとう御座いました!!


山頂からは木曽駒方面の中央アルプスの峰々や南アルプス(の奥にちょこっと富士山も!)の大展望!
本日一番のりだったようで最高の青空の下、最高の山頂を独占できました。

この後は普通は池山尾根で下山なのでしょうが、まだまだ早朝でこんな良い天気なのに下るなんて勿体無い!って事で南駒ケ岳まで行ってみる事に。

空木岳からの見て最奥のピークが南駒ケ岳。
堂々としたお姿はさすが二百名山の貫禄。
では、いざ参る!

南駒まではなだらかな凌線に見えたものの、中間ピークの赤椰岳の前後はなかなかの急勾配で、累積標高は±300m弱程度はありそう。
とは言え、最高の天気と展望のおかげでとても気持ちよく歩けました。

そして、南駒ケ岳山頂!
ありがとう御座いました!

山頂からは越百山や安平路山、恵那山と言った中央アルプス南部の展望が広がります。
南駒ケ岳以南は標高の低い山なので空が広く気持ちいい景色が広がっています。
ああ~、先に行ってみたい!!

オマケとして考えていた南駒ケ岳ですが想像以上に展望が最高で、本当に来て良かったと思えました。

静かで気持ちいい風が吹く山頂をしばし堪能。
では、空木岳に戻りましょう。


さて、空木岳に戻ってきましたー!
早朝とは異なり日帰り客も増え賑やかなに山頂になってました。

そして、まだ10時前ですが、山頂を含め凌線はガスが掛かりつつあります。
ここ近年の夏山は展望が期待できるのは朝方だけになってきたような気がします…
これも温暖化の影響なんでしょうかね。

では池山尾根を下って駒ヶ根高原へ下山しましょう。

下山中、後を振り返るとガスに隠れつつ空木岳。
主稜線上からは切り立った岩峰で成るカッコイイ空木岳でしたが、こちらから見るとなだらかで優しい印象がありますね。
見る方向によってだいぶ印象が変わるもんです。
今日はありがとう御座ました。

池山尾根途中の駒石。
石でありながら、なにか生物的ななにか不思議なものを感じました。

駒石を過ぎるとほどなく樹林帯の中へ。
標高が下がるにつれ、湿り気たっぷりの夏の空気に戻るのを寂しく思いながら帰路を進みます。

途中の大地獄、小地獄はなかなかの難路。
池山尾根ピストン日帰りの場合、下山時は疲れが溜まっているので特に注意が必要かと思いました。

そして、黙々を歩いて車をデポした駒ヶ根高原スキー場へ下山完了。
お疲れ様でしたー!

いやー楽しかった!
唯一主稜線歩きはほとんどガスの中で残念でしたが、2日目のガスの中朝陽に浮かび上がる空木岳、滝雲流れる中央アルプス主稜線、威風堂々の南駒ケ岳は本当に感動できました。
コロナ禍以降久々の山で一泊ということもあり、その感動もひとしおでしたね。
1泊2日の中で山の魅力がググっと詰まった充実の山旅でした!

長文になりましたが最後まで読んでくれた方、ありがとう御座いました!
以上です。