最終日は今回の山旅の核心、淀川小屋から尾之間歩道をへて一気に海近くの尾之間温泉まで下山します!
事前の情報収集からこの尾之間歩道は指標はあるものの登山道としてはほぼ未整備、更に鯛之川と言われる比較的大きな沢の渡渉が必要なので、悪天時やそれによって増水した場合はほぼ通行できないとのこと。
でも、今日は晴天!且つ、前日まではガスっていたものの雨は少なかったので問題無いと判断して計画通り下山開始!
明るくなってきた朝7時に淀川小屋を出発し、程なく淀川登山口に到着。
今日は晴天って事もあり、駐車場はほぼ満車でした。
そして、道を挟んだ対面にひっそりと尾之間歩道への入口があります。
入口の時点で淀川登山口と比べて荒れ具合が半端なく、入山者が少ない事が一目瞭然。
更に、看板には上記の書いたように、沢の渡渉がありますよ~、路は荒れてますよ~等、色々注意書きが書いてありますが、そんなことは百も承知。
では突撃~!
歩道に入りしばらくは緩やかなアップダウンを繰り返す尾根道(乃木(ノンキ)尾根)を進みます。
確かに所々指標があり、進む方向ははっきりしていますが踏み跡はほとんど無く「とりあえず方向は示すけど、どこを歩くかは自分で考えてね~」がスタンスのようです。
この尾根は基本樹林帯なのであまり展望はないですが、所々隣の尾根の石塚山や太忠岳が見えます。
いや~、太忠岳の天柱石が立派ですね!ヤクスギランドから登れるらしいのでいつか登ってみたいです。
乃木岳を過ぎると太平洋方面に展望が広がる場所があります。
見えるピークは鈴岳かな?
ここから南へ進路を変え、鯛之川に向かって標高を下げ始めるので、展望はここが最後。
う~ん、やっぱりこの天気の中で主稜線を歩きたかったですね。
寂しい気持ちが残りますが、それも登山。下山を始めましょう!
ちょうど背丈程ある木々が多く、踏み跡も薄いのでちょっとした藪漕ぎみたいな場所もありますが、指標は明確なので安心して進めます。
指標は新しいので毎年付け直しているのでしょうね。ありがたい事です。
鯛之川手前まで降りてきました。
この辺りはもうひたすらに苔の世界。
その1で紹介した白谷雲水峡の「苔むした森」なんて目じゃありません。
苔むし過ぎた森が一面に広がっています。
また、所々に小さな沢や池があり水音が疲れを癒してくれます。
これが屋久島の本当の姿かも知れませんね。
写真には収められませんでしたが、道中、ヤクシカやヤクサルはもちろん、コウベモグラやヒメネズミも見る事が出来ました。
さて、鯛之川の渡渉ポイントまでやってきました。
水量は下調べの時に写真でみた状態と同じなので普段の姿だと思いますが、
…
…あれ?渡渉ルートがわかりません。
少し周辺をフラフラしてみましたが、ジャンプせずに足が届く範囲で確実に渡れるような場所が見当たりません。
靴を脱いで渡る事を考えましたが、水深が深く(深い場所で膝下くらい)流れも早い、更に川底は苔がいっぱいと足元をもっていかれる姿が容易に想像できるので断念。
とりあえずジャンプすれば届きそうな場所はあったので、いざコケた時に岩を掴めるように両手をしっかり空けてジャンプ!!
スタッ!成功!
とりあえず無事渡渉できましたが、これで良かったのでしょうか?
まあ、増水した場合は間違い無く渡渉出来ないのがよくわかりました。
自分もその場合は淀川登山口まで戻り、紀元杉まで徒歩で行き、そこからバスで下山するエスケープルートを考えていました。
鯛之川を渡ると1回登り返して、その後また下りになります。
登山道はというと、相変わらず「方向は示すが道は自分で探せ」のスタンスを貫いています。
更に倒木が多くなりちょっとしたアスレチックの様相に。
進む道は直進ですがどこを通ればいいのやら?
よじ登ったり、倒木の上をバランス取りながらあるいたり、大きく迂回したりと大型ザックを担いでいると一苦労。
こんな道が約3時間。想像以上に時間が掛かかりましたが、メジャールートでは味わえない感覚に楽しくなってきますね!
そんな尾之間歩道もゴール目前、蛇之口滝への分岐に出ました。
疲労が溜まっていて温泉という御褒美にすぐにたどり着きたい気分ですが、折角ここまできたので蛇之口滝に寄り道してみることにしました。
尾之間温泉から蛇之口滝まではハイキングコースと謳っていますが、登りは緩いものの結構荒れており、ちょっとした沢の渡渉もあり、登山道って言った方が正解のような気がします。
とはいっても20分くらいで蛇之口滝に到着。
おお~、お見事!
屋久島にある滝の中でも大川の滝、千尋の滝と並ぶ最大級の滝の1つです。
水量はそれほどではありませんが、屋久島を司る花崗岩の1枚岩が大迫力です!
しかも、たどり着くには尾之間温泉からもそれなりの時間と体力が必要なので実物を見た人は以外と少ないのではないでしょうか?
ポカポカと暖かく下山の疲れもあったので、しばし滝の音に耳を傾け、岩の上でゴロゴロ休憩。
…
さあ、ゴールに向かいますか!
ゴールに近づくにつれ亜熱帯の照葉樹林に覆われ、雰囲気は当に南国。
昨日は氷交じりの寒風の中にいたとは思えません。
屋久島の植生垂直分布が直接体感できるのも尾之間歩道の魅力かも知れません。
ゴール!!!
尾之間温泉に到着!
結局、尾之間歩道で出会ったのはアメリカ人の4人パーティーだけでした。
おいおい日本人、もうちょっとやる気出そうぜ。
温泉へは民宿にチェックインした後にゆっくり入りに行こうと思っていましたが、もう我慢ならん!って事で突撃!
泉質はほのかに硫黄香る無色透明の硫黄泉、但し熱い!源泉は49度でそれをそのまま掛け流しにしているのでかなりの高温。
でも、登山に疲れた身体にビリビリ効いて堪りませんな~。
満足満足。
尾之間温泉から、本日予約を入れてある民宿までは国道を歩いて約2キロ。
右手には太平洋、左手にはモッチョム岳を望み、やり遂げた充実感いっぱいで歩みを進めます。
途中、PPAPを大合唱しながら歩いてきた小学生たちに元気よく挨拶され、更に、たまたま車で通り掛かった民宿の御主人にピックアップしてもらうサプライズもあり、離島の人たちの暖かさに触れ、最高の気分で今回の山旅を終える事ができました。
ちなみに泊まった民宿はモッチョム岳の麓にある「民宿nicoichi」さん。
屋久島の素材を生かした奥さんの手料理が美味しいのはもちろん、携帯が不通だった事で困っていたところにPCを貸してくれたりと色々親切にして頂きありがとう御座いました!
また屋久島を訪れた時には是非泊まりたいです。
いや~、屋久島ってやっぱり最高だね!!!
おわり。
では、総括!
4年前の感動をもう一度!を期待して挑んだ屋久島南北縦走登山でしたが、いまいち天候には恵まれず大株歩道や主稜線での絶景はお預けとなってしまいました。
でも、むしろそれが緑深い屋久島を生み出している真の姿なのでしょうけど正直残念な気持ちが強いです。
しかし、今回の山旅の核心の尾之間歩道での下山路は晴天に恵まれ、むせ返る程の苔に覆われた森、その森で繰り返させる命の循環と、メジャールートでは体感できない屋久島の自然の力強さをこれでもかと体感出来たのは本当に貴重な経験でした。
屋久島のマイナールートは多数あり、どこも丸1日以上は掛かる長いものですが、是非1回は歩いてほしいと思います。
初めての屋久島は自然の壮大さや美しさを教えてくれました。そして今回は自然の深さや力強さを教えてくれたと思います。
やっぱり屋久島は自分にとって特別な場所です!
何はともあれ怪我無く全日程予定通り終える事ができて良かったです。
山の神様に感謝!
以上です。
最後まで読んでくれてありがとう御座いました!
登山以外の出来事は、温泉巡りや旅食シリーズでいずれ紹介しようと思いますのでこうご期待!
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